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議会報告

議会質問

【2015年6月定例会】 2015年6月30日

中学校における武道教育の充実についての質問

質問県内中学校における柔道の指導体制が整っていない学校数とその対応及び更なる安全確保にむけての指導について

答弁(教育長) 本年度当初、県域の中学校において、指導体制の整っていない中学校が5校あった。これらの学校については、地域人材を活用したり、柔道指導者養成研修会に参加したりするよう指導した結果、すべての学校で、柔道指導の開始時期前に指導体制が整う見込みである。

会議録全文

大田満 大田 満

中学校における武道教育の充実について質問をいたします。
この定例会において、知事は議案説明要旨やこれまでの質問の御回答の中で、人づくりというキーワードをよく口にされました。資源が乏しい我が国において、人こそが最も重要な資源であり、子供たちは次代を担う大きな宝である。私も同感です。人づくり、このベースを構築するに当たっては、言うまでもなく教育の内容が問われてまいります。現下、グローバル化が進む社会にあって、これからの若者は国際社会で生き抜く力を身につけていかなければならない。その力とは、語学力やさまざまな専門的な知識はもちろんでありますが、私は、礼節を大切にする心や他人を思いやる気持ちなど豊かな心を持った日本人を育成することが重要であると考えます。そして、他の国の文化を理解するために、まずは我が国の伝統や文化を理解した日本人を育成することが大切であると考えています。
平成十八年十二月に教育基本法が改正され、教育の目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」とうたわれております。このことを受け、学校教育法の改正、学習指導要領の改訂が行われ、平成二十四年度から中学校において武道が必修化となり、男女を問わず全ての生徒が武道の授業を受けることになりました。我が国固有の文化である柔道、剣道、相撲などの武道を学ぶことは、豊かな人間性を養い、国際社会において世界に生きる日本人を育成する上で大変有意義なことであると私は確信しています。
そこで教育長に質問です。武道必修化四年目を迎えて、改めて武道の教育上の効果をどのように捉えているのかお伺いいたします。
次に、武道授業における安全確保についてです。先月、中学校の柔道部の部活動中に生徒が亡くなるという痛ましい事故が起きました。武道は、相手の動きに応じて基本動作や基本となるわざを身につけ、相手を攻撃したり、相手のわざを防御したりと身体的な接触を伴う競技でございます。それゆえに、事故ゼロを目指す安全面への配慮が最重要の課題だと考えます。県の教育委員会では、中学校で武道が必修化となる三年前の平成二十一年度から、モデル校による実践研究を行い、その成果物である実践事例集を県下の公立中学、高等学校に配付するとともに、教員を対象に柔道、剣道、相撲の研修会を実施し、三カ年で全ての中学校保健体育科教員をいずれかの研修会に参加させ、武道の安全指導の徹底などを行ってきたと聞いております。また、文部科学省は平成二十四年に、中学校における柔道の授業を開始する時点において、一定の指導歴または研修歴を持った教員が指導に当たることができない学校に対しては、指導する教員が一定の研修を受けること、またそれができない場合は適切な外部指導者の協力を得るなど指導体制を整えるよう通知しております。
そこで教育長にお聞きします。現在、県内の中学校において柔道授業の指導体制が整っていない学校はどのくらいあり、その学校に対しどのように指導しているのか、またさらなる安全確保に向けてどのように指導していくのかお伺いいたします。
最後に、今後の武道教育の充実について御質問いたします。あすから七月に入ります。当地福岡県では、毎年恒例の金鷲旗高校柔道大会が七月二十一日から四日間、また玉竜旗高校剣道大会が七月二十四日から六日間の日程で行われます。今回で金鷲旗は第八十九回、玉竜旗は八十八回と歴史を重ねたこの両大会には、日本全国の高校から、一部海外からのも含め、おおむね千五百のチームが参加し、例年、抜き勝負で熱い戦いが繰り広げられております。そこでは、福岡県の高校が毎年優勝争いや上位進出するなど目覚ましい活躍を見せています。このことからも、福岡県が全国的にも武道の盛んな地であり、武道を重んじる気風が漂う尚武の地であると言っても過言ではありません。また、このような全国規模の大会で活躍した本県出身の、または本県で在学した選手の中には、オリンピックや世界選手権などの大会でも活躍を見せており、その雄姿は多くの県民に大きな感動と喜びを与えています。
このように、福岡県からすばらしい選手が多く輩出されている理由としては、学校や地域においてすぐれた武道の指導者、その人材が豊富であることが挙げられます。しかしながら、中学校の現状を見ますと、武道を専門とする教員がいない学校もあると聞いています。武道は、中学校から初めて学習する運動領域でありますが、武道を専門としない教員は、授業において武道の特性や価値などを教えることは難しいのではないでしょうか。私は、まずは指導する教員がしっかりと研修し、武道の価値をしっかりと教えられるようになることが大切であると考えます。あわせて、地域の優秀な人材の活用を視野に入れること、武道への興味や関心を抱き、将来、武道のことをもっと知りたい、学びたいという生徒を育てるには、何といっても武道に精通する指導者からの指導が最も効果的であると考えます。しかし、地域人材の活用においては、地域人材との打ち合わせや授業実施日等の日程調整に苦慮している、また地域人材が生徒の実態を十分に理解、把握した上での指導は困難であるなどの課題があると聞いております。県教育委員会は、このような課題の解決や地域人材の活用を含めた武道教育の円滑な実施のための方策等をしっかりと検討し、武道教育に取り組む必要があるのではないでしょうか。
そこで教育長に質問です。武道必修化以降の中学校における武道教育の充実に向けた県教育委員会の取り組みの成果と、今後の地域人材を含めた取り組みについてお伺いいたします。
本県中学校における武道教育が充実し、この尚武の地福岡で育った生徒たちが、武道の伝統的な考え方や所作をしっかりと学び、我が国の伝統や文化を尊重する態度を身につけ、将来にわたり国の内外で活躍する人材となることを願いまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。

答弁者 教育長(城戸 秀明)

武道の教育上の効果についてでございます。武道は、互いにわざを競い合う中で礼を重んじ、道をともに学ぶといった我が国の伝統的な考え方を理解し、それに基づく行動の仕方を学習するものでございます。このような修練を重ねることによって、相手を尊重する態度や自立心、克己心を養うなど、生徒の人間形成を図る上で大きな効果があると考えております。
県内中学校における柔道の指導体制が整っていない学校数とその対応、及びさらなる安全確保に向けての指導についてでございます。本年度当初、県域の中学校において指導体制の整っていない中学校が五校ございました。これらの学校については、地域人材を活用したり、柔道指導者養成研修会に参加したりするよう指導した結果、全ての学校で柔道指導の開始時期前に指導体制が整う見込みでございます。今後は、柔道授業のさらなる安全確保に向け、文部科学省が作成した安全指導の手引に基づき、授業中の指導のあり方のみならず、事前の安全確認や万一事故が発生した場合の対応などについて指導を徹底してまいります。
武道教育の充実に向けた取り組みの成果と今後の取り組みについてでございます。県教育委員会では、現在、武道教育全般について、教員の指導力向上を目指した研修会を実施するとともに、授業に地域人材を活用する調査研究事業を行っております。特に、地域人材の活用については、各学校から、生徒に武道の伝統的な行動の仕方を身につけさせることができた、複数の指導者で授業を行うことにより生徒の安全が十分に確保されたなどの報告を受けており、成果が上がっていると認識しております。今後は、こうした取り組みを継続、推進するとともに、武道系の運動部活動にも地域人材を派遣し、武道教育のさらなる充実発展につなげてまいりたいと考えております。