議会質問
【代表質問】県庁職場の綱紀粛正と不祥事の再発防止について他の質問
会議録全文
おはようございます。自由民主党福岡県議団、福岡市早良区選出の大田満です。このたび、会派を代表して質問する機会を得ましたことを大変光栄に思っております。御推薦いただきました会派の会長を初め先輩議員、同僚議員の各位に対して、また地元の私をお支えいただいております皆様に対し深く感謝を申しながら、福岡県議会の第一会派である自民党県議団、その責任ある立場で代表質問に立たさせていただきます。よろしくお願いします。
さて昨日、シンガポールにおいて行われたトランプ米国大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談は、新しい国際政治の歴史の一ページをめくるものになりました。もちろん、この会談の具体的成果は今後の推移を待つことになるのでしょうが、翻って私どもの県政は足踏みも許されず、前に向かって大きく進んでいかなければなりません。こうした観点に立ち、これより代表質問に入りたいと思います。
まず最初に、県庁職場の綱紀粛正と不祥事の再発防止について知事の姿勢をただしてまいります。改めて指摘するのがためらわれるほどですが、またしても職員の不祥事の発覚で総務部職員が逮捕されています。相次ぐ不祥事発生、発覚に県民の県政に対する信頼をますます損ない、威信は低下するばかりであります。
そこでお聞きします。今回の事態発生の第一報を受けた知事の心境はどのようなものであったか。言葉で飾らず率直な胸のうちをお示しください。
その上で、頻発する不祥事に、もはや求めることさえためらうところですが、汚職不祥事をなくし、一日も早い県政への威信回復を求める県民の立場に立ち、県としての不祥事再発防止策の見解をお示しください。
ところで、今回の不祥事発覚で、はしなくも県や県職員がかかわる任意団体、親睦団体の数の多さと運営管理のずさんさを知るところとなり、そのあり方が問われるところとなりました。今後の毅然とした対応が求められると判断しています。今回の事件で逮捕された当該職員が会計を管理していた木曜会なる任意団体は、福岡県内に所在する国の出先機関の長の集まりのようで、会費徴収などの会計事務を県で担当していたとのことですが、その会計事務は逮捕されたその職員が単独で担当し、会計帳簿と預金通帳を一人で保管し、他の者が目にすることはなかったと聞いています。そのずさんなあり方は驚くばかりです。県ではこの事件発覚後、これまで気にもとめてこられなかったでしょうこの手の任意団体、親睦団体の実態について急遽調査されたようです。県民や議会の目を恐れて慌てて調査に着手した泥縄式の印象は免れません。それにしても県が県議会代表者会議に示された資料を知る限り、その数の多さには驚きの連続であります。かつて、問題の木曜会なる団体について、保管金が多過ぎる、問題を誘発しないうちに廃止したらどうかと事務を担当した関係職員が上司に報告したことがあったと聞いています。その際、上司は、組織は一たび廃止すると改めてつくることは大変な努力を要するから存続させておくことが妥当と、何ら問題意識を持たれなかったようです。一顧だにされなかったことが今となっては全く残念な話ではあります。
そこで知事にお聞きします。この任意団体、親睦団体の実態調査結果について改めて説明をいただき、異常に多いと思われるその団体数等について、いかなる印象を持たれているのか、その上で、こうした団体の見直しを含め見解をお示しください。
この問題の最後に、職員の不祥事に我が会派から再発防止に関し、一つの提案をいたしておきます。不祥事発覚のたびに繰り返されるのは、所属長訓示、グループミーティング、研修、個別面接であります。県幹部の今回の対策をもって何とかとめたいとの思いは理解できないわけではありませんが、もうこの対応策は限界に来ているのではないでしょうか。職員にとっても、また訓示、また研修かと、内心うんざりしているのではないでしょうか。ここいらで、もっと新しい対策を検討し、実行すべきではありませんか。我が会派はかねてより、不祥事防止のため、職員に座禅を組ませてはどうかと提案してまいりました。しかしながら、執行部の反応は、ナシのつぶてか、のれんに腕押しであります。宗教上の問題などが絡んでおり、難しいのかもしれません。
そこで新たな提案であります。この際、県職員にもサバティカル制度を導入されてはいかがでしょうか。この制度は、一定の勤続年数を超えた職員に、充電期間として、短いところで一カ月から、長いところでは一年間程度の長期休暇を付与するものであります。導入の意図は、中堅職員が長期休暇を取得することにより、自己啓発やリフレッシュなどによる仕事に対するモチベーションやロイヤルティーの向上はもとより、資格取得やボランティア活動参加による自身のキャリアを見詰め直し、ひいては人生の棚卸しにもつなげてもらおうというものであります。休暇期間中も全額給料を保障する企業もあれば、まずは有給休暇を全て充当し、それを超える期間について給料を一部カットしたり、賞与を休止する企業など、さまざまであります。その一方で、資格取得費用に対して支援金を出し、休暇取得者の経済的負担を軽減する企業もあるといいます。九州大学など国立大学では、研究を目的とする一年間のサバティカル研修制度が既に実施されていると伺っております。本県では、全国に先駆け、七十歳現役社会づくりに取り組んでこられました。また、国では、働き方改革に加え、公務員の定年延長問題も検討されております。
訓示や個別面接は、薬に例えれば頓服であります。その場の痛みを抑えることはできても、不祥事の根っこを治療することにはなりません。職員の不祥事を根絶やしにするためには、職員のモチベーションやロイヤルティーの向上に届くような心の琴線に触れるような対策が必要ではないでしょうか。この際、思い切って、全国に先駆け、サバティカル制度を導入してはいかがかと提案します。小川知事の英断を期待し、答弁を求めます。
次に、知事の政治姿勢として、もう一点ただしておきたいと思います。それは昨年度末に発行された「福岡県防災ハンドブック」についてであります。既に東京都が「東京防災」とネーミングした防災手引書を全都民向けに発行していることを例にとって、我が会派がかつて、この議会で、本県でも作成してはどうかと発行を勧めた経緯があります。早い取り組みには敬意を表するところでありますが、余りにも高度、詳細過ぎて、果たしてこれが緊急時に対応するマニュアルとなり得るか、いささか疑問に感じるところです。東京都の場合は全都民向けに作成されており、一方で、本県の場合は、市町村向けに、いわば参考書として作成し、直接県民に対しては市町村が改めて作成してもらうとされていましたので、このため我々が望んだものといささか趣の違ったものになったのかもしれません。残念なことであります。
改めてこの手引書づくりと取り組んだ経緯、そして背景、でき上がったものについて、知事としていかなる所見を抱いておられるのか見解をお示し願います。
次に、福岡空港の民間委託問題についてただします。平成二十九年度の福岡空港の旅客数の速報値では、国内線一千七百六十五万人、国際線六百三十三万人の合計約二千四百万人となっており、過去最高を記録したようですが、このことは福岡空港の混雑に一層拍車をかけ、既に朝夕の混雑時には航空機のおくれが常態化するなど、危機的な状況を迎えていると聞いています。その対策として国は、平成三十二年一月完成予定の平行誘導路の二重化や、三十七年三月完成予定の滑走路増設事業を取り組み、私たちは一日も早い完成を待ち望んでいるところであります。特に滑走路増設事業については、全体事業費が一千六百四十三億円とされており、国はその事業費を民間委託の運営権対価として確保するため、平成二十五年七月、当時の太田国土交通大臣から小川知事に対し、福岡空港民間委託について地元での検討が要請されました。その要請に基づき、二十五年十月、県は福岡市と福岡空港運営検討協議会を設置して検討を開始し、二十六年十一月に県議会等の意見や検討の結果を踏まえ、国に対して地元意見を提出しました。
こうした中、空港の安全性の確保を最優先事項とし、借地料の国負担や環境対策を国が責任を持って対応すること、さらには福岡県の空港の将来構想の実現に係る協力や、地域の振興に係る協力と地域の意向を反映する仕組みの整備等への対応などを条件として空港管理の民間委託計画が進み、平成二十九年三月には実施方針が、また同年五月には募集要項が公表、募集要項による具体的な公募の手続も開始され、先月の五月十六日には、いわゆる地元連合と呼ばれる福岡エアポートホールディングスグループが優先交渉権者として選定されました。福岡空港の民間による空港運営は来年四月に開始される予定であり、今後は、そのための優先交渉権者と国との間で協議が進められると聞いております。
我が自民党県議団は、福岡空港の民間委託に対しては、国に提出した地元意見にもあるとおり、地域の意向を反映する仕組みの整備が極めて重要だと考えています。そこで、本会議や空港、防災及び水・エネルギー等社会基盤調査特別委員会の場において十分な議論を重ねてきたところであります。平成二十八年六月に開催した特別委員会には知事の出席を求め、民間委託の運営権者に対し県はどのように関与していくのかという我が会派の質問に対し、知事は、「地域の意向を公的立場から適時、的確に空港運営に反映させることが重要」とした上で、経営の最終的な意思決定の場である株主総会において、一定の発言力が持てる水準の出資比率を確保し、取締役会で、地域の意見を反映できるよう国と協議すると答弁されています。この県の考えは、関係地方公共団体の関与として、一〇%以下の運営権者に対する出資及び非常勤取締役の派遣として制度上で認められたところであり、県は民間委託後の空港運営に公的な立場から積極的に関与していく必要があることは言うまでもないところであります。
そこで、県は、今回選定された運営事業者とさまざまな協議を進めていくに当たり、県の出資、役員派遣や、運営権者との連携について、どのように協議を進めていくのか、知事の考えをまずただします。
次に、依然として納得のいかない問題は、なぜ福岡県とともに地元を代表すべき立場にある福岡市が空港運営にかかわりを持とうとしないのか、要は、なぜ資本参加しないのかということであります。このことはさきの空港、防災等の特別委員会でも鋭く指摘され、知事も出席を求められる中、長時間にわたり論議されています。
そこで、改めて知事にお聞きします。地元福岡市が資本参加せずとも今後の空港運営には何ら支障をもたらさないと考えられているのかどうか、仮に、支障ありと考えられるのならば、福岡市長に対して改めて資本参加を求めるべきであります。知事の率直な見解をお示しください。
また、この際、福岡空港と北九州空港の連携について改めて聞いておきます。県は、福岡県の空港の将来構想を平成二十六年に策定し、県内にある福岡空港と北九州空港の特徴を生かし、両空港の役割分担と相互補完を進めるという考え方を示していますが、言葉とは裏腹に、なかなかその具体像は見えてきません。福岡空港の民間委託以降、その将来構想をどのように進捗させていくのか、とりわけ機能分担、役割分担の核となることはどのような取り組みなのかお示しいただくことも含め、知事の決意を改めて求めて、この質問を終わります。
次に、いわゆるはしかと言われる麻疹対策について、県の見解と対策についてただしておきます。このところ、海外で感染した患者を発端とする国内での感染拡大事例が多く見られています。本年三月以降でも、海外からの旅行者から感染が拡大し、六月十二日現在、沖縄県で九十九名の麻疹患者が発生し、愛知県では、沖縄県への旅行者から、医療機関等を中心に感染が広がり、二十五名の麻疹患者が確認されています。加えて大変気がかりなことに、本県においても、四月に、ことし一人目の麻疹患者が確認されて以降、これまでに福岡市、春日市、大野城市、糸島市において、計二十名の麻疹患者が発生しています。もともと予防接種法に基づく定期の予防接種により、我が国における麻疹患者の発生数は格段に減少し、平成二十七年三月には、世界保健機関、いわゆるWHOにより、我が国は、土着のウイルスによる感染がない排除状態にあることが認定されるまでになっていただけに、大変残念なことであります。
そこで、まずお聞きしますが、海外で感染した患者の国内流入、とりわけ県内流入と感染拡大に対し、知事は、これまでどのように取り組んでこられたのかをお伺いします。
感染拡大を防ぐための緊急的な対策は、もちろん大事であり、県民の健康と命を守る知事として、しっかり取り組んでいくことは当然のことであると考えますが、感染拡大を防止するためには、平時からいかに備えておくかということも最も肝要であることは論をまちません。
次に、国の発表資料によると、本県の市町村における定期予防接種の接種率は、平成二十八年度で、第一期が九六・六%、第二期が九一・二%と、いずれも全国平均の九七・二、または九三・一%を下回っている状態であり、これは大変遺憾なことであります。国は、それぞれの接種率が九五%以上となるよう目標を定めており、接種率の向上は最も急がれることであります。この際、改めて指摘しておきますが、罹患歴がなく、かつ予防接種歴のない、または一回の接種しか行っていない児童福祉施設、学校等の職員等に対しては、幼児など麻疹に罹患すると重症化しやすい者と接する機会が多いことから、再度の予防接種を促す必要があります。
そこで、この際、麻疹について、市町村が行う定期予防接種や、児童福祉施設の職員等に対する予防接種の推奨を、より強力に進めていくために、医療、福祉、学校等の関係者から成る推進体制の構築、なかんずく、制度上、乳幼児と七歳になる就学前に市町村が行う定期予防接種事業に漏れた人たちに対する救済、また一回しか受けていない人たちに対する再度の接種については、県事業として取り組み、感染拡大を防止すべきと考えますが、知事の抱負をお伺いします。
次に、書店が地域に一店舗もない書店ゼロ自治体の増加について、若干の考察も交え県の見解をただしておきます。出版取次大手によると、一千八百九十六ある全国の自治体と行政区の二割強に当たる四百二十が書店ゼロ自治体に該当するとのことです。四十七都道府県で唯一、書店ゼロ自治体が存在しないのは香川県だけです。もっとも、香川県の場合は、市町村合併が進み、市町村のエリアが広がった結果、市町村のどこかに書店が存在するので、地域に一店舗もない状態に陥っていないにすぎないということのようです。事実、市町村合併が行われる前の調査では、香川県の三十八町村のうち、半数近い十八町村が書店も図書館もない町村であったが、このような町村が合併した近隣の市や町に書店があったため、結果として、書店ゼロ自治体ではなくなっただけで、香川県の書店事情が他の都道府県に比べ良好だということではないようです。このように、書店ゼロ自治体が少ない県でも、広大な面積の町に書店が一店しかなく、その書店に行くにも車で何十分もかかるというのでは、事実上の書店ゼロ自治体にほかなりません。そして、そのような無書店地帯は全国に広がっています。かつては、商圏人口七千から八千人で書店一軒が成り立つと言われていましたが、書店離れや重い本はネットで、雑誌はコンビニで購入という購買方法の変化などもあり、人口一万人でも書店の存立基盤としては心もとないのが現状のようです。
本県の場合はいかがでしょうか。本県六十の市町村のうち、書店ゼロ市町村がどの程度にまで広がっていますか。全国平均と比べていかがでしょうか。その実態を詳しく報告願います。
もちろん、居住している市町村に書店が一つもないといっても、住民が全く本を読まないというわけではありません。住民は、図書館で借りたり、隣町や地域の中心都市の書店で購入したり、あるいは通信販売を利用するなど、さまざまな方法で本と接しています。しかし、身近なところで出版文化に触れるチャンスがないということだけは言えるのではないかと思います。書店ゼロ自治体の大半は町や村であり、その多くが人口減少に悩んでいる自治体です。少し古い調査ですが、書店ゼロ自治体の七割強が、平成二十六年に日本創成会議が消滅可能性都市と名指しした市町村だという報告もあります。
この日本創成会議の報告で、本県でも政令市の行政区一つを含む二十二の自治体が消滅可能性都市と名指しされました。そのときの衝撃は、四年近くたった今も忘れることはできません。本県の書店ゼロ自治体も、その多くが消滅可能性都市に該当しているのではないでしょうか。この点をまず、知事にお尋ねします。
また、本県では、県民意識調査や各種計画を策定する際に、伝統的に県内を四つのブロックに分けています。作家で、文字・活字文化推進機構副会長の阿刀田高さんが指摘しているように、町の本屋が減れば子供たちが紙の書物に触れる機会が減り、今後ますます活字離れに拍車がかかるだろう、本屋は地元の活字文化を支える存在であり、消滅は地方文化の衰退につながる、そのようなことになりかねない。書店ゼロ自治体が一つのブロックに偏在しているとすれば、その地域全体の文化が衰退に向かっていることになり、県内四地域の均衡ある発展を目指す県行政として、手をこまねいていることはできないと考えます。県内四地域の状況についてお答えください。
一方、合併で市町村の区域が広がったところでは、その市や町に書店が一つあったとしても、旧市町村単位で見れば、書店ゼロのエリアが存在しているわけで、住民の多くが、身近なところで出版文化に触れるチャンスが少ないという意味で、実質的な書店ゼロ自治体であると言っても間違いではありません。本県には、そのような市町村がどのくらいあるのかもあわせてお答えください。
書店ゼロ自治体の増加は、裏を返せば、本屋が町から消えているということです。全国の書店数は、昨年の夏の統計ではありますが、一万二千五百二十六店で、調査を開始した平成十二年の二万一千六百五十四店から四割以上減り、過去最低を更新しています。計算上は、一日一軒の本屋さんが消えていることになります。人口の減少、若者の活字離れ、紙の本の一割弱を握るアマゾンを初めとするネット書店に押されていること、また書店の売り上げの六割から七割を占めるコミックや雑誌がコンビニでも販売されていることなど、さまざまな要因が町の書店の経営を圧迫しています。これらの要因が、経営者の高齢化も相まって書店経営の将来性のなさを助長し、経営を断念させているわけでございます。
知事は、初当選以来、一貫して県民幸福度日本一の実現を標榜されています。自治体レベルでの幸福度が測定される場合には、文化的な充実度が、ほぼ必ず測定されるようです。都道府県別の幸福度ランキングと、書店ゼロの自治体が多い都道府県を重ね合わせてみると、かなりの相関性が感じられます。平成二十八年の幸福度ランキングと書店ゼロ自治体数のランキングを重ねてみれば、例えば、書店ゼロ一位の北海道は幸福度四十位、二位の長野県が幸福度四位ではあるものの、三位の福島県が幸福度三十九位、四位の沖縄県が幸福度四十六位、五位の奈良県が幸福度三十五位といったぐあいに、書店ゼロの自治体が多い県が幸福度ランキングでは下位となっています。本県の場合はいかがでしょうか。もちろん、書店のあるなしと人間の幸福の間にあるメカニズムについては何も明らかになってはいませんが、書店のないところは、知的な偶然の出会いに乏しいことは確かで、そのことが、人間の幸福感に何かしらの影響を及ぼしているのではないかと推測されるところから、あえてお聞きしておきます。
次に、物づくり支援のかなめともなるべき研究開発、とりわけ県工業技術センターの技能強化についてただします。ことし一月、国が主催する第七回ものづくり日本大賞の受賞者が発表されました。このうち福岡県からは七件の受賞があり、中でも、うち三件が、福岡県工業技術センターの三研究所による中小企業支援の取り組みに関するものと報告を受けています。一つは、機械電子研究所と企業、大学によるナノ粒子に関する装置開発、もう一つは、インテリア研究所と企業による革新的な塗装方法を活用した家具開発、そして、化学繊維研究所と株式会社久留米リサーチ・パークによる久留米地区でのゴム産業の人材育成の取り組みであったと聞いています。いずれも工業技術センターの平素の熱心な活動の成果であったであろうと、私自身、設計分野ではありますが、かつて、いわば技術の世界で生きてきた者の一人として強く感銘を受ける次第です。
県では、工業技術センターにおける県内物づくり中小企業の製品開発支援を強化するため、順次、各研究所の施設、設備の整備にも取り組まれています。機械電子研究所に、機械、金属分野を中心にCAEと呼ばれるコンピューターシミュレーション解析技術を活用した物づくり支援を行うためのCAE支援ラボを開設されたほか、生物食品研究所には、付加価値の高い食品開発を企画から加工、評価まで一貫して支援する、ふくおか食品開発支援センターを開設、先月には、化学繊維研究所内に、ゴムやプラスチックを初めとする高分子材料製品の材料の開発を一貫して支援する高分子材料開発支援ラボを新たに開設されました。残る大川市のインテリア研究所についても、今年度、木材曲げ加工技術を取り入れた付加価値の高い家具の開発を支援する家具試作評価支援ラボの整備に取り組まれているようです。このように工業技術センターを核にしておのおのの分野で充実した研究開発が展開されていることは、県内中小企業に大変な安心感を与えています。しかしながら、こうした取り組みも、その果実として企業の売り上げ増加にしっかりとつながっていかなければ何の意味もありません。単に研究者のための研究に終わってしまいます。
そこで知事にお伺いします。先ほど工業技術センターの活動実績について述べましたが、こうした活動によって、これまでどれくらい県内中小企業の売り上げ増加につながったと見ているのでしょうか。私は、その成果とも言うべき試算を具体的な数値で示し、県民へのPRと理解の一助とすべきと考えます。その上で、今後、工業技術センターによる県内物づくり中小企業の支援にどのように取り組んでいくつもりか、お考えをお聞かせください。
次に、農業農村整備事業についてであります。昨年、九州北部豪雨災害により甚大な被害を受けた朝倉地域でも、これから田植えが始まろうとしています。この筑後川流域は、江戸時代の初めまで、小川やため池を利用した水田がわずかにある程度で、荒地の広がる地域であったそうですが、朝倉市の古賀百工やうきは市の五庄屋といった今も語り継がれる先人たちが、井堰や用水路などの農業土木施設を築き、筑後川の水を利用できるようにしてくれたおかげで、現在では、青々とした水田が広がる農業地帯となっております。農業土木に深い関心を寄せていた作家の司馬遼太郎が、稲作は伝来のときから農業土木がセットになっていた、近代以前にあっては、治山治水と農業土木こそ世を救う道だったと言わざるを得ないと言うように、米づくりを中心とする我が国農業の歴史は、農業土木、いわゆる土地改良の歴史でもあります。先人が残した水田やため池、用排水路など農業の生産基盤は、我々の貴重な財産であり、それを保全し、さらに機能を高め、次の代に引き継いでいくことが我々の使命であり、それを行うための事業が農業農村整備事業であります。この事業は、終戦直後、深刻な食料危機の解消や失業者の就労対策として農地の開拓を中心とする事業として始まり、昭和三十年代後半からは、生産性の向上などを目的に、圃場整備や農業水利施設の整備などが進められ、現在の近代的農業の礎を築き上げた重要な事業であります。
しかし、近年、全国で一時間当たり五十ミリ以上の雨が降った回数は年々増加しており、直近十年の平均は、昭和五十一年から昭和六十年までの十年間の約一・四倍に増加しています。また、農水省の資料によると、二十六年度末時点で、百ヘクタール以上の受益面積を有する用排水路や井堰などの基幹的な農業水利施設は、その約二割が既に耐用年数を超過しており、十年後にはさらに悪化し、約四割に達すると見込まれ、今後、改修の必要な施設が増加していくものと考えられます。さらに、老朽化による農業水利施設の突発的な故障も近年増加しており、平成二十八年の事故発生件数は、五年前の約三倍となっております。こういった施設の中には、ダムや排水機場など、人々の生命や財産を守っている施設もあり、集中豪雨が起こったときに故障して動かなかった、決壊してしまったなどということは許されるものではありません。今後は、これまで整備してきたこういった施設を適切に保全し、さらに機能を高めるとともに、昨年の九州北部豪雨のような頻発する豪雨への対応が必要であると考えます。
そこで知事にお尋ねします。頻発する豪雨への対策や農業水利施設の整備など、農業農村整備事業をどのように進めていこうとされるのか、お答え願います。
次に、我が会派がこれまでしばしばただしてきました農林水産物の輸出拡大についてであります。我が国における昨年の農林水産物と食品の輸出額は初めて八千億円台を突破したものの、その伸び率は鈍化しておりまして、政府が来年の目標としている一兆円の輸出額達成は、かなり厳しい状況にあるのではないでしょうか。こうした中、先月三十日、自民党の農産物輸出促進対策委員会は、農林水産物の輸出拡大に向けた提言、グローバル・ファーマーズ・プロジェクトを取りまとめました。この提言では、輸出に関心を持つ生産者や生産者団体、食品産業、商社、輸出業者などが集まるグローバル・ファーマーズ・コミュニティーを組織することを柱とするものであります。この組織では、品目ごとの海外ニーズや海外市場にアクセスする際の規制、政府の支援策などの情報を共有するとともに、互いの交流や連携を促すことで輸出拡大につなげるものであります。この会の委員長でもある小泉進次郎議員が、まだまだ日本は農林水産物において輸出途上国だと痛感する、しっかりと真に結果を出し得るプレーヤーをどうやって支えていけるのか、と言われたように、輸出に本気で頑張っている人たちの場をつくり、そこに支援していくことが政策として効率的ではないかとの考えのもと、まとめられたと聞いております。本県でも多くの生産者や団体の皆様が、この組織に参画されることで、さらなる輸出の拡大につながればと大いに期待しているところであります。
さて、輸出に意欲的に取り組まれている皆様とよく話をする機会があるのですが、いつも挙げられる大きな課題は、輸出先国や品目ごとに異なっている動植物検疫や残留農薬基準のようです。これらの規制緩和や撤廃などについては、国と国との協議であり、国においてしっかりとした取り組みを求め、実現を図らなければ輸出拡大を図ることも難しそうです。しかしながら、国内市場の縮小が見込まれる中では、こういった規制緩和や撤廃が進まないからといって立ちどまっているわけにはいきません。当面は現在の規制に柔軟に対応し、輸出に取り組む新たな産地の育成やこれまで輸出を行ってきた産地の拡大を図っていくことも必要だと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、教育問題に移ります。
初めは、県立特別支援学校の整備についてお尋ねします。県教育委員会では、昨年度まで義務教育課の中にあった特別支援教育室を、今年度から特別支援教育課として課に昇格させています。本県特別支援教育の推進体制を一層強化するという県教委の決意のあらわれと受けとめています。障がいのある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するため適切な指導及び必要な支援を、しっかりと行っていただくことを求めたいと思います。
一方で、本県県立特別支援学校の状況を見ますと、特別支援学校制度の創設にかかわる学校教育法の改正や、保護者の意向を一層重視した特別支援学校の就学手続の整備にかかわる学校教育法施行令の改正などにより、特別支援教育の充実と普及が図られる中、特別支援学校への期待がさらに高まっていることを反映して、在籍者は増加の一途をたどっています。特に知的障がいを対象とする特別支援学校においては、普通教室数の不足が深刻な課題となっているため、適切な受け入れ態勢を整備することが喫緊の課題であるようです。そこで我が会派としても、この問題を極めて重視し、これまで本議会の代表質問で取り上げ、早急な対応を求めてきたところ、県教委もこれを真摯に受けとめ、平成二十八年十一月に、県立特別支援学校の整備方針を策定しました。そして、その中で、県立特別支援学校における小中学部及び高等部の知的障がい教育部門等の児童生徒数について将来見込みを推計し、この推計値に基づいて、古賀特別支援学校の通学区域内またはその近隣地域、糸島市内またはその近隣地域、太宰府特別支援学校の通学区域内またはその近隣地域にそれぞれ新設校を設置する方向性を示したことは広く県民の知るところであります。今後の県立特別支援学校に対する教育ニーズに的確に応え、希望する児童生徒の確実な受け入れと質の高い特別支援教育を提供するという観点はもちろんのこと、費用面や実際に学校を建設するまでのもろもろの工程のことを考えましても、この学校の新設は、整備方針の中でも重要な課題であり、県民の関心も極めて高いため、確実に、かつできるだけ迅速に取り組みを進めていく必要があります。そこで、この問題について三点にわたり教育長にお尋ねします。
まず一点目は、整備方針における児童生徒数の推計値と現在の児童生徒数の状況についてです。先ほど述べましたように、整備方針における学校新設等の内容は、児童生徒数の将来推計に基づいたものになっています。この整備方針策定後、平成二十九年度、平成三十年度と二回にわたり新入生を受け入れてきていますが、整備方針を策定したときに推計した数値と比べ、現実には、予測した以上に増加していると聞いていますがいかがでしょう。そうであるのならば、整備方針を見直すことも視野に入れる必要があると考えます。
そこで、整備方針における平成三十年度の児童生徒数の推計値と実際の在籍状況、さらには、その状況を踏まえての整備方針のあり方について、教育長の見解をお聞かせください。
二点目です。整備方針で示された新設校の設置につきまして、三カ所のうち、糸島市内またはその近隣地域に設置する新設校に関しては、先ごろ、県教委は糸島市泊地区を候補地とする旨を公表しました。糸島市には、希望する生徒を受け入れるべき県立の特別支援学校が設置されておらず、これまで福岡市に教育を委託するという極めて不安定な状況にあること、また、その福岡市立の特別支援学校も教室数の確保に苦慮していることを考えると、候補地が定まって取り組みが進んでいることについては一定の評価をしているところですが、糸島市域を除く新設校設置予定の二カ所についてはどのような状況になっているのでしょうか、お答えください。
三点目です。新設校設置予定の残りの二カ所のうち、古賀特別支援学校の通学区域内またはその近隣地域に設置予定の新設校に関連してですが、古賀特別支援学校の通学区域内にある宗像市におきましては、先日、本県初の女性市長が誕生し、初登庁の記者会見で、県立特別支援学校の誘致を最優先課題と位置づけていることを明らかにしました。新市長は、本県議会の文教委員会の委員長を務めた経験があり、その識見に基づいて、本県の特別支援教育の推進に理解を示され、学校誘致の意向を表明していただいていることは、県教委が整備方針に沿った取り組みを進めていく上で、大きな弾みになるものと考えます。このような宗像市長の意向について、県教委はどのように受けとめ、今後、どのように対応していくのか、教育長の所見をお尋ねします。
教育問題でもう一点、最後にただし、私の会派を代表しての質問を終えさせていただきます。これまでにも我が会派で指摘してまいりました教員の大量退職期にある本県の人材確保です。言うまでもなく、学校教育の成否は教員の資質、能力に負うところが極めて大きいものであります。しかし、現在、教員の大量退職による世代交代の波が押し寄せており、教員をめぐる状況は大きく変化してきています。実際、昨年二月議会での我が会派の代表質問に対して、教育長は、大量退職期は数年後にはピークに達し、当面続くとの本県の現状を明らかにしてくれました。これは、昭和四十年代の第二次ベビーブームに対応するため大量に採用された教員が定年退職期を迎えたことによるものであり、ベテラン教員の急激な減少と大量の新人教員の誕生という、これまでに例のない大規模な世代交代は、学校教育の歴史的転換期と言っても過言ではありません。このような状況に対応するため、県教委は新規採用者数を大幅にふやすことはもとより、当然ながら、採用試験等において人材確保のためのさまざまな創意工夫を凝らし、最大限の努力を払うべきであります。さらに、教育活動の充実の観点からは、昨年十二月議会において我が会派が既にただしたように、正規教員とともに学校教育を支える講師についても、人材確保のための手だてを講じることが重要であると考えられるところであります。他方、経験豊かな教員が継続的に大量に退職していくことは、将来の管理職候補者が大幅に減少することを意味しており、校長の資質、能力の低下も危惧されるところであります。学校が直面する教育課題に的確に対応していくために、校長のリーダーシップとマネジメント能力がこれまで以上に求められる中、優秀な校長の確保は大きな課題であり、既に北九州及び福岡の両政令市では、校長の再任用制度が導入されたとも聞き及んでいます。県教委直轄地でも能力ある校長を継続的に任用するための方策が必要ではないでしょうか。
そこで教育長に伺います。かつてない教員の大量退職、大量採用時代を迎え、校長、教員の人材確保にどのように取り組むのか、明確な答弁を求めます。
以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
お答えを申し上げます。
まず初めに、今回の不祥事発生の第一報を受けた際でございます。私は、昨年八月から不祥事の再発防止に県を挙げて取り組んでおりました。そのさなかに発生しましたことに強い衝撃を受けまして、何よりも、このような不祥事が発生したことに、県行政のトップとして、県民の皆様に対し、大変申しわけなく思うとともに、責任を痛感したところであります。
不祥事の再発防止でございますけれども、今回の不祥事につきましては、まず関係職員に対しまして、先月、厳正な処分を行いました。また、私自身、県政を預かる知事といたしまして、木曜会の会員の皆様に多大な迷惑をかける事態となりましたこと、また昨年の親睦会費の横領事件を受けまして、全ての所属に注意喚起を行っていたにもかかわらず、再び横領事件が発生したことを、より重く受けとめさせていただきました。みずからを戒め、責任を明らかにすることによりまして、職員の皆さん、そして県民の皆さんに対し、不正の根絶に向けた強い私の思いをあらわすため、このたび給料を減額する条例案を提案させていただいたところであります。県民の皆様の信頼を回復するためには、なお一層、県政の推進に邁進をしていかなければならない、そのように考えております。
具体的な再発防止策でございますけれども、これまで風通しのよい職場づくりに向け、幹部職員による各職場の訪問、また職員への声かけなどを行いまして、全庁挙げてこれに取り組んできております。私自身、さまざまな機会を通じて職員の皆様に声をかけ、また意見を聞き、信頼関係の構築に取り組んできているところであります。逮捕の翌日でございますけれども、緊急の部長会議を開きまして、こうした不祥事の再発防止の取り組みを改めて徹底するよう私自身、各部局のトップに直接指示をさせていただきました。今年度からは、全ての階層の職員研修で公務員倫理を実施するなど職員研修の見直しも行ったところであります。さらに、専門家の御意見も参考にしながら、過重な借金を抱えた職員の状況把握とその対応につきましても検討を進めていきたいと考えております。これらの取り組みによりまして、不祥事の再発防止に全力で取り組んでまいります。
次に、任意団体、親睦会の会計処理、それについての総点検でございます。知事部局等における木曜会以外の点検対象団体は、任意団体が二百十三団体、親睦会五百十一団体、合計七百二十四の団体がございました。任意団体は、県の事業を実施するに当たりまして、他の自治体や民間企業、地域住民と連携し、一体となって実施したほうが、より効率的、効果的に施策効果を実現できる場合に、実行委員会あるいは協議会、そういった形で設置をしているものでございます。親睦会は、職員同士の親睦を深めるため、所属等ごとにつくられ、会費を徴収し、主に、懇親会の開催費用や祝い金、香典等に使っています。これらの団体につきまして、通帳及び現金、出納簿と領収書、これらを突合する方法によりまして総点検を行いました。その結果、横領等不正な支出はございませんでした。しかしながら、百三十九の団体で規程に出納責任者が明文化されていない、通帳と現金を鍵つきの金庫等に保管をしていないなど改善を要する事項がございましたので、これらについて速やかな改善を指示いたしました。そして、五月三十日までに、全ての団体でそれらについて改善されたことを確認したところでございます。任意団体、親睦会いずれにつきましても、それぞれの必要性により設置されているものでございます。これらについては、これから毎年度、総点検を行い、適正な会計処理を確保してまいります。特に、任意団体につきましては、毎年度の事務事業の見直しなどを通じましてその必要性を点検し、存在意義がなくなり、または薄れた団体につきましては、これを廃止または統廃合を進めていきたいと考えております。
次に、サバティカル制度の御提案がございました。サバティカル制度は、一般的に、長期勤続者に与えられます使用目的を限定しない長期の休暇でございまして、その期間は一カ月から一年とされております。職務専念義務を有しております県職員が給与を保障されたまま、使用目的を限定しない長期の休暇を取得することにつきましては、県民の皆様からの御理解を得るのは困難であると、このように考えております。一方、給与を支給しない休業制度につきましては、地方公務員法に規定されているものに今、限定されております。以上のことから、県におきましては、いわゆるサバティカル制度を新たに導入することにつきましては、これはなかなか難しいことであるというふうに考えております。そのため本県におきましては、地方公務員法に規定されております自己啓発等休業制度を設けまして、公務員としての能力、資質の向上を目的として大学等の課程の履修、それから国際貢献活動を行う職員に対しまして、三年以内の休業を認めているところであります。このほか、職員の自発的な社会貢献活動を支援するボランティア休暇、長期勤続の節目に当たる職員に心身のリフレッシュのための休暇を付与する長期勤続休暇などを設けているところであります。今後、御質問の御趣旨も踏まえまして、さらにこうした制度の周知に努めるとともに、休業期間中の所属への人的な配置、また復職後には、そうした職員の知識、経験を活用できる所属への配置を行うなど、制度を利用しやすい職場環境づくりに取り組んでまいります。このほかにも、強いストレスを抱えております職員を対象に、九州災害時動物救援センターにおきましてボランティア活動を行う研修というものを今年度から新たに実施することといたしております。これらを活用することによりまして、職員の仕事に対するモチベーションの向上に努めてまいります。
次に、「福岡県防災ハンドブック」についてお尋ねがございました。平成二十八年三月の予算特別委員会におきまして、自民党のほうから、「東京防災」のような防災ハンドブックの必要性について御質問をいただきました。これを契機といたしまして、私ども、熊本地震や九州北部豪雨の経験も踏まえ検討を進め、今般、「福岡県防災ハンドブック」を作成をいたしたところであります。このハンドブックは、災害への備えと具体的な行動に結びつくよう、まず県民の皆様に、さまざまな災害に関する基礎知識を理解をしていただく、また対応に当たっては自助、共助が大事でございますので、備蓄や避難等みずからとるべき行動とその手順を示しまして、災害への備えに役立つ知識というものを網羅をさせていただきました。また、大規模災害で実際に被災された方の体験談も掲載をいたしまして、県民の皆様に、災害というものを、より身近な問題として理解をしていただけるよう工夫も凝らさせていただいたところであります。こうした特徴を持っておりますが、一方で、詳細で項目数の多いものとなったわけでございます。このため、市町村がそれぞれの地域の地理的条件などに応じて項目を選別、選定をいたしまして、住民の皆様に対し、わかりやすくお伝えする工夫ができるよう、市町村に対しましては、このハンドブックの電子データを提供するとともに、その活用方法等につきまして説明会を開催したところでございます。また、研修教材として県内の自主防災組織に配付をいたしますとともに、今後、私どもが行います出前講座等におきまして、その教材として活用してまいります。さらに、多くの県民の皆様にごらんいただけるよう公立図書館に配架をいたしますとともに、電子書籍として無料で入手できるようにしているところであります。これらの取り組みによりまして、県民の皆様に災害に対する自助、共助の心構えを持っていただきまして、家庭や地域における防災力の強化につなげていただきたいと、このように考えております。
次に、福岡空港の民間委託にかかわる県の出資、役員派遣、そして運営権者との連携についてお尋ねがございました。民間委託後の福岡空港が地域の期待する役割を将来にわたって持続的に果たしていくためには、運営権者が民間らしい創意工夫、経営能力を最大限に発揮する一方で、私ども地域の戦略や方針と連携、協調することが非常に重要であると考えております。このため県といたしましては、出資及び役員派遣によりまして、この新しい運営会社の運営の基本的な方向や方針の決定の場に参画をし、運営会社との連携をしっかり確保することといたしております。県の出資及び役員派遣につきましては、募集要項等において国が定めた手続に従いまして、今般選定されました優先交渉権者と国との基本協定が締結された後、私ども県とこの優先交渉権者との間で、まずは一〇%以下の出資及び県からの役員派遣というものを運営会社が受け入れることについて確認をする契約を締結することになります。その後、具体的な出資比率や額、出資の条件などの協議を行いまして、最終的には議会にお諮りをした上で、当該出資を行うことといたしております。また、国、県、市及び空港運営会社等が一堂に会して空港の利用者の利便の向上について協議をいたします空港法協議会の場におきまして連携を図っていくとともに、日々の事業の運営につきまして、県と運営会社が十分な意思疎通を直接図ることができるような仕組みにつきましても、今後、運営会社と協議していきたいと考えております。
次に、福岡市が資本参加しない空港の運営についてでございます。県といたしましては、福岡県の空港の将来構想に基づきまして、福岡空港が戦略的な路線誘致や北九州空港との役割分担と相互補完によるゲートウエーとしての利便性などにつきまして、その実現を図り、福岡県はもとより九州、西日本の発展に寄与していかなければならない、このように考えております。このような福岡県が果たすべき役割に鑑みまして、空港運営会社に対し出資及び役員派遣を行い、広域的な地域の意向というものを公的な立場から空港運営に適時、的確に反映させることといたしております。これによりまして、民間委託について、地元の皆さんに安心感を与え、福岡空港が私たち地域の期待する役割を将来にわたって持続的に果たしていくことができると、このように考えております。また、運営権者にとりましても、民間らしい創意工夫や経営能力を最大限に発揮する一方で、私たち地域の戦略や方針、それらとの連携、協調することによりまして、地域のニーズに合った安定的な事業の展開、そして民間委託の効果の最大化というものが図られることになると、このように考えております。こうした観点から、現在、空港、防災及び水・エネルギー等社会基盤調査特別委員会で御審議をいただいております関係自治体の出資につきましては、県がこの新しい運営会社の運営の基本的な方向や方針の決定に参画をし、広域自治体としての役割を果たしていくことによって、福岡都市圏を含めた広域的な地域のニーズに応じた事業展開が図られ、福岡市の資本参加がなくても民間委託後の空港運営には支障は生じないものと考えております。
福岡空港と北九州空港との連携についてでございます。福岡県の空港の将来構想では、北九州空港において二十四時間空港の特徴を生かした早朝、深夜便、またLCCの誘致及び貨物拠点空港として発展させることによりまして、過密化や利用時間の制約といった課題を抱えております福岡空港との役割分担、そして相互補完を進め、今後とも、増大し、多様化する航空需要に幅広く応えていくことといたしております。具体的には、北九州空港におきまして、平成二十八年度から三カ年を路線誘致の推進強化期間として取り組んでおりまして、その結果、LCCのジンエアーの仁川線を初めとする国際定期便五つの路線が相次いで就航いたしますとともに、スターフライヤーが、この秋から台北線の就航を発表しているところであります。さらに、ANAによる深夜国際貨物定期便の就航も六月から実現しておりまして、両空港の役割分担と相互補完が進んできているというふうに考えております。福岡空港の民間委託後の取り組みといたしましては、優先交渉権者から北九州空港との相互補完に関する提案がなされているところでございまして、今後、それが公表されることになりますが、その提案内容をまずこの運営会社に実行してもらうことを初めといたしまして、福岡空港の発着枠を超える就航希望航空会社の北九州空港への誘導など、さらなる両空港の役割分担と相互補完に向けた取り組み、これを運営会社と連携して進めてまいりたいと考えております。また、北九州市、苅田町と連携した路線誘致につきましても、引き続き取り組んでまいります。
次に、麻疹についてお尋ねがございました。県におきましては、沖縄県で患者が増加をいたしました四月三日から、県内で発生した場合の早期発見のために、県医師会や保健所を通じ、全医療機関に対し、麻疹を念頭に置いた診察の依頼を行ってまいりました。また、県民の皆様には、県のホームページ、報道機関、ツイッターを通じて、麻疹が疑われる場合には、事前に医療機関に電話連絡の上、公共交通機関を使わず、速やかに受診をするよう、その注意喚起を行ってまいりました。四月十三日、患者が発生をしましたことから、感染拡大を防止するため、国立感染症研究所の麻疹発生時対応ガイドライン、これに基づきまして、患者本人に対する疫学調査を実施し、接触した可能性のある人たちに対する健康観察、症状が出た場合の外出自粛要請、速やかな受診勧奨というものを行ってまいりました。また、患者と接触後三日以内でありますれば、緊急ワクチン接種によりまして発病を予防できる可能性がありますことから、患者と接触した可能性のある人、いわゆる健康観察者のうち、麻疹にかかったことがなく、予防接種歴が一回以下の人に対し、必要な量のワクチンを確保した上で、その接種を推奨してまいりました。五月十五日には、県内で感染が拡大傾向にありましたことから、庁内の関係部署、政令市等保健所設置市をメンバーとする福岡県感染症危機管理対策本部、これを設置いたしまして、医療機関における院内感染防止対策、児童福祉施設、学校等の職員に対する予防接種の推奨、患者発生が集中した保健所への応援によります健康観察や指導の徹底というものを図ってまいりました。一時、千四百名を超えておりました健康観察者は、現在、百名程度になっております。感染は縮小傾向にございますけれども、依然として予断を許さない状況にありますことから、引き続き、万全の対策をとってまいります。
次に、児童福祉施設等の職員に対する再度の予防接種についてでございます。麻疹ワクチンは二回の接種を行うことによりまして九五%以上の方が免疫を獲得できるとされております。平成二年四月以降に生まれた人につきましては二回の予防接種の機会が設けられております。一方、同年三月以前に生まれた人の定期接種の機会は一回もしくはゼロ回となってございます。また、二回の定期接種の機会がある人につきましても接種を受けていない人が数%いらっしゃいます。このような人たちのうち、特に、児童福祉施設等の職員はワクチン接種が一回以下の乳幼児と接する機会が多うございまして、発症すると大勢の方が感染する可能性が高いことから、再度の予防接種を行うことは感染拡大の防止の上で有効であると、このように考えております。しかしながら、麻疹ワクチンは主に定期接種に使用されておりまして、前年度販売実績をもとに製造されております。そのことから、それ以外に使用する場合には、ワクチンの確保、これについて十分留意する必要がございます。このため、市町村、感染症の専門家、医療従事者、福祉、それから医薬品卸販売事業者等の関係者から成る麻疹の予防接種を推進する会議、これを新たに設置をいたしまして、その中で、乳幼児と接する児童福祉施設等職員への接種につきまして、できる限り早期の実施に向け、対象者の接種歴の確認等、具体的なその実施方法、ワクチンの確保などにつきまして検討を進めてまいります。
次に、書店ゼロについてお尋ねがございました。本県において書店のない自治体は十四団体でございます。県内の全自治体に占めるその割合は二三・三%でございまして、大手出版取次会社が取りまとめた全国平均とほぼ同じ水準になってございます。
次に、本県の書店ゼロ自治体が消滅可能性都市に該当するかでございます。日本創成会議がさきに発表しました消滅可能性都市に該当する自治体は、本県では二十二団体ございますが、そのうち書店のない自治体は四団体となっておるところであります。
その書店ゼロ自治体の県内四地域における状況でございます。書店のない十四の自治体の地域ごとの内訳でございますが、福岡地域が七自治体、北九州地域と筑豊地域がそれぞれ三自治体、筑後地域が一自治体となってございます。各地域の自治体中、書店のない自治体のこの割合でございますけれども、福岡地域が三五%、北九州地域が二三・一%、筑豊地域が二〇%、筑後地域が八・三%となっているところであります。
合併前の旧市町村の区域で見た場合のこれらの状況でございます。いわゆる平成の合併前の旧市町村は九十七区域ございました。これで見ますと、書店のないところは三十九区域ございます。書店のない旧市町村の区域を抱える現在の市町村の数は、県内で二十七市町村となります。
次に、幸福度ランキングとの関係でございます。本県の書店のない自治体数の全国順位は八番目、八位で、書店のない自治体の割合で見ますと十七位となってございます。一方で、日本総研、日本総合研究所が健康、文化、仕事といった特定の指標をもとに順位づけを行いました全国四十七都道府県幸福度ランキング二〇一六年版では、本県は総合ランキング三十位となっております。このランキングにおきましては、書店に関するものとしましては、世帯当たりの書籍購入額というものをその指標といたしております。これで見ますと、本県は全国七位となってございます。こういうところから見ますと、書店のない自治体の数がこのランキングに直ちに影響しているというふうには考えられないのではないかと思います。しかしながら、読書は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、それぞれの人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであると、このように考えております。このため、県立図書館の充実を初め、県内百二十一ございます公立図書館、千三百を超える学校図書館等に対する職員等資質向上を図る研修、また図書に関する情報の提供、図書館相互の蔵書の貸し出し、そういった支援を通じまして、書店のない自治体や旧合併区域を含めた県民の読書環境の充実を図っているところでございます。
次に、工業技術センターの活動についてお尋ねがございました。工業技術センターにおきましては、これまで、物づくり中小企業に対しまして技術指導、共同研究等を行い、その製品開発を支援をしてまいりました。その結果、過去十年間見ますと、百五十四件の製品化を支援をし、約三百三十億円の売り上げにつながっております。グローバル化の進展や少子、高齢化など中小企業を取り巻く事業環境が厳しさを増している中、物づくり中小企業の売り上げをさらに伸ばしていくため、県におきましては、順次、関係の各研究所におきまして、多種多様な中小企業からのニーズに対応した施設、設備の整備を進め、製品開発機能というものを強化してきているところであります。平成二十六年度には、食品製造業を支援する生物食品研究所、これにふくおか食品開発支援センターというものを開設をいたしまして、ここにおきましては、オリーブ果実を配合したカレー、地元産果物を使ったドライフルーツを初めといたしまして製品化が四十件、約三億円の売り上げにつながっております。また、平成二十七年度に、機械電子製品製造業を支援をいたします機械電子研究所に開設をいたしましたCAE支援ラボ、コンピューター・エイデッド・エンジニアリング支援ラボと申しますが、ここにおきましては、食品を急速に凍結する製氷機や低コストのLED照明器具を初めとしまして製品化が十四件、約十五億円の売り上げにつながっております。今申し上げましたように、工業技術センター全体で見ますと、平成二十七年度以降の三年間で、製品化が七十三件、売上高は百五十四億円となってございます。これはそれ以前の三年間と比較いたしますと、製品化の件数で一・九倍、売上高で一・七倍にそれぞれ増加しているところであります。今後は、五月に開設をいたしましたゴム、プラスチック製品製造業を支援をいたします化学繊維研究所の高分子材料開発支援ラボ、これに続きまして、家具製造業を支援するインテリア研究所に、家具試作・評価支援ラボを現在整備中でございまして、来年四月にこれが開設をする予定でございます。こうした新しい施設も活用いたしまして、付加価値が高く、競争力のある製品の開発というものを支援してまいります。
次に、農業農村整備事業についてでございます。農業水利施設は、農業生産の重要な基盤でありますとともに、防災、減災機能も担っており、農村地域の安全、安心の確保にも大きな役割を果たしているところであります。一方、これまで国や県が整備をしてまいりました水路や排水機場などにつきましては、建設後長期間が経過をし、老朽化したものが多くなってきております。このうち、十年を経過したものにつきましては、施設の点検、診断を行いまして、機能保全計画を策定した上で、水路のひび割れ補修といった施設の長寿命化を図るための対策を今、実施しているところであります。また、クリークやため池につきましては、降雨を一時的に貯留し、洪水の発生を防止するといった効果がございます。このため、水路幅十メートル以上など一定の規模を有するものを対象といたしまして、クリークのり面の浸食状況やため池の堤体の状況、また排水能力などを調査をいたしまして、のり面の護岸、洪水吐きの改良といった必要な整備を行っているところであります。今後とも、国に対しまして必要な予算の確保を働きかけていくとともに、県単独事業も活用いたしまして、市町村や農業者とも十分協議しながら、農業農村整備事業を計画的に進めてまいります。
次に、輸出に取り組む産地の育成と拡大でございます。農産物の輸出において重要となります動植物検疫、また残留農薬基準は、それぞれの検疫証明書や園地の許可取得が必要なこと、また日本で登録された農薬でも使用できないことなど、輸出先の国あるいは品目ごとに異なっているところであります。このため、これに対応した産地育成に県及び九州農産物通商とJA、生産者一体となって取り組みを進めてきておりまして、現在、台湾向けあまおうにつきましてはJA粕屋が、台湾及び米国向けのミカンとEU向けの八女茶につきましてはJAふくおか八女が、台湾向けのキャベツにつきましてはJA北九がそれぞれ輸出を行っているところであります。県におきましては、このような輸出に取り組む産地に対しまして、輸出先国に応じた栽培マニュアルを作成いたしまして、技術指導を行うとともに、生産に必要となる輸出専用の防除機械の導入などの支援を行っているところであります。また、昨年一月、ベトナム向けの梨、十月、米国向けの柿の輸出がそれぞれ解禁されました。これを受けまして、県といたしましては、関係産地に対し積極的に働きかけを行いまして、その結果、ベトナム向けの梨につきましてはJA筑前あさくらと嘉麻市の第三セクターが、米国向けの柿につきましてはJA筑前あさくらとJAにじが、新たな輸出に向け、これまでに生産園地の登録を完了し、現在、選果こん包施設の登録を進めているところでございます。さらに、産地を拡大していくため、輸出に関心のある生産者組織の勉強会に出向きまして、検疫条件等の周知を図りますとともに、輸出向けの生産が行われている園地、これを公開し、その栽培方法についての情報を提供しているところであります。県としましては、輸出環境を整備するために、国による二国間協議の加速化を引き続き要望してまいります。また、九州の自立を考える会の御提言も踏まえ、先進的に農産物の輸出に取り組んでおります九州農産物通商の取り組みをさらに支援をするとともに、JA等と連携をしまして、現在取り組んでいない産地に対しましても働きかけを行い、生産者みずからが輸出に取り組んでいこうという意識を高め、輸出産地の育成、拡大を図ってまいります。