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議会報告

議会質問

【2018年12月定例会】 2018年12月12日

子ども医療費支給制度と学童期のむし歯予防対策についての質問

質問子どもの医療費支給制度の改正に伴う分析・評価について

答弁(知事) 医療費の動向であるが、改正前後の1年間の医療費データで比較したところ、小学生の年間受診回数は、1人当たり7.6回から8.0回に増え、総医療費は、9.5%増加している。  医療費増加の内訳を見ると、小学生の医科通院が7.8%増であるのに対し、歯科通院は21.2%増と大幅に増加している。  また、昨年8月、小学6年生までの子どもを持つ保護者を対象にアンケート調査を実施したところ、制度に対する認知度は87%、満足度79%と高く、この制度が、「経済的負担の軽減」や「早期治療による子どもの健全な成長の促進」に役立っているとの回答を得た。

会議録全文

大田満 大田 満

子供医療費支給制度と学童期の虫歯対策について質問いたします。
今、国難とも呼ぶべき人口急減、超高齢化の波が、我が国の社会、経済全体に深刻な影響を及ぼす中で、本県においても少子化の進行は克服すべき重要な課題であります。直近で県が行った、子供等に関する県民意識調査によれば、県民が少子化対策として県に求めるものは、子育てをしている家庭への経済的な支援の充実、これが二七・九%と最も多く、また子育ての悩みや不安の内容については、子供の教育費や稽古事などにお金がかかるが三四・二%と、経済的不安を訴える方が多くなっています。それゆえに子供の健康保持を図る上で、また福祉の増進を図るために必要な医療を容易に受けることができるよう、医療費の本人負担の一部を県と市町村が公費で助成する子供医療費支給制度は、子育て世帯にとって非常に大きな役割を担っていると言えるでしょう。
これまで、我が会派では少子化を食いとめる有効的な施策として、子育て世帯の負担を軽くするよう繰り返し訴えてきました。そのかいあって、本県では平成二十八年十月に制度改正され、それまで入院、通院とも、就学前までであった子供医療費の対象年齢を小学校六年生まで引き上げるとともに、自己負担分を定額とする新制度がスタートしました。これに伴い、当時見直しを図る必要があった県内の三十八市町村でも新たな制度が導入され、県内全ての市町村で対象年齢が小学校六年生まで拡大されました。それから約二年が経過したところですが、ここで、次の三点について、知事にお尋ねします。
まず一点目です。二年前の我が会派の代表質問において吉村悠議員から、子供医療費支給制度において新制度が導入された、その前後の医療費について分析調査を行うべきとの指摘があったところですが、今回の対象枠が拡大したことに伴う医療費等の推移を勘案して、この施策をどのように分析、評価するのか、知事の見解をお聞かせください。
次に、子供医療費支給制度については、実施主体が市町村であり、その対象や自己負担額はおのおのの市町村で決定され、県は一定の基準に従って財政負担をする仕組みとなっております。県内の市町村の状況を見ますと、本年四月時点で、入院については全六十市町村が、少なくとも中学三年生までを対象としておりまして、通院については、十八歳になった年の年度末までを対象としているのが二つの町、中学校三年生までが二十五市町村、小学校六年生までが三十三の市と町であります。このように、既に対象年齢を中学生以上にしている市町村もありまして、少子化対策のより一層の充実という観点から、本県において小学校六年生までである対象年齢を、さらに引き上げる、そのようなお考えがないのか、知事にお聞きします。
三点目に、少子化対策は縦割りで取り組むのではなく、あらゆる方面で連携し、横断的に対策を講じなければ、その解決の道筋が立たない難問でありまして、私は、その解決策として、子供医療費対策が果たす役割は大きいものと考えます。しかしながら、現在子供医療費は自治体が住民を呼び込むための手段として、対象年齢の引き上げや自己負担額の軽減が、各自治体の間で競争となっている側面が見られます。本来であれば、子供医療費は少子化対策の一環として、国家を挙げて国の責務で取り組むべき問題であると思いますが、果たして、国は子供医療費に対してどう考えているのでしょうか。また、現行の子供医療費に対する助成制度は、地方自治体の努力によって運営されているわけでありますが、このまま競争を続ければ、地方自治体の財政を圧迫しかねない、そのような状況に陥るのではないかと危惧されます。
こうした状況を踏まえ、全国都道府県議会議長会では、本年七月の定例総会の決議において、少子化対策、子育て支援の推進は、「国と地方が一丸となって、安心して子供を生み育てることができる環境づくりを強力に進めていく必要がある。」と決議しています。県も国に対して地方の厳しい実情を伝え、少子化対策としての子供医療費の必要性を訴えなければならないと思いますが、知事の見解をお尋ねします。
続いて、私は、これまでに学童期における虫歯予防対策の充実を取り上げ、たびたび質問させていただきました。その際に知事は、学校長や養護教諭などを対象としたフッ化物洗口に対する安全性や効果など、正しい知識の普及啓発の取り組みが進まなかった要因を、フッ化物洗口に対する安全性の理解が関係者の間で十分に得られなかった、このことから、新たに教育委員会と連携する中で、先行的な取り組みを検討することとし、また平成二十九年度からはフッ化物洗口の実施に意欲ある小学校をモデル校として、実際にフッ化物洗口に取り組むとの答弁がされました。
文部科学省の報告によれば、小学校における主な疾病、異常の被患率は、虫歯が五〇から六〇%と、突出した値を示しておりまして、小学生の病気のワーストワンを占めています。ちなみに十二歳児の一人平均虫歯本数は、平成二十九年度において、全国平均の〇・八二本に対し、本県では一・〇本と多く、また直近十年間の虫歯の本数の改善状況を見ると、全国では約五割の改善率であるところを、本県は約三割と芳しくない状況にあります。また、全国的に虫歯は減少傾向にあります。このことについて、厚生労働省では、幼児期から継続的に実施されている集団でのフッ化物洗口等のフッ化物応用の効果であるとしているものの、あわせて都道府県間における地域格差が継続して認められるとの評価もしております。九州各県では、いち早く佐賀県が平成二十五年度に公立小学校での実施率一〇〇%を達成したのに続き、平成二十九年度には長崎県が一〇〇%、熊本県が政令市を除く市町村で一〇〇%、宮崎県が六〇%、大分県が約五〇%の実施状況の中で、本県はわずか一・六%しか実施できていません。そのような背景の中で、全国保険医団体連合会が本年四月に取りまとめた学校歯科治療調査中間報告によれば、全国の小学校において歯科健診で治療が必要とされた子供の、何と五二・一%が未受診、虫歯が十本以上あるなどそしゃくが困難となった口腔崩壊の子供がいる学校が三九・七%という非常にショッキングな調査結果でありました。私は、本県の歯科口腔保健の推進に当たっては、幼児期から学童期までのライフステージにおいて、歯の喪失の原因である虫歯予防対策をより一層効果的に展開するべきと考えます。
そこで最後の質問です。これまでに、県下の小学校に対して、フッ化物洗口の普及啓発やモデル校を選定してフッ化物洗口を実施してこられましたが、モデル校での事業はどのように進められてこられたのか。また、その実施状況をどう評価しておられるのか。あわせて、モデル校でのフッ化物洗口事業が終了した後に、次の展開への取り組みも当然必要であると考えますが、知事の見解をお尋ねします。
以上、子供医療費支給制度と学童期の虫歯対策についてただしてまいりましたが、知事には、本県が抱える課題を確実に克服していくという強い姿勢をお示しいただくことを願い、私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。

答弁者 知事(小川 洋)

子供医療費支給制度の改正に伴う分析、評価でございます。まず、医療費の動向でございますが、改正前後の一年間、その医療費データを比較いたしましたところ、小学生の年間受診回数は一人当たり七・六回から八・〇回にふえ、総医療費は九・五%増加をいたしております。医療費増加の内訳を見てみますと、小学生の医科通院が七・八%増に対しまして、歯科通院は二一・二%増と大幅に増加をいたしております。また、昨年八月、小学六年生までのお子さんを持っておられる保護者を対象にアンケート調査を実施いたしましたところ、制度に対する認知度は八七%、満足度は七九%と、それぞれ高うございまして、この制度が経済的負担の軽減、早期治療による子供の健全な成長の促進に役立っているとの回答をいただいているところであります。県といたしましては、今後とも定期的にデータを取得し、この制度の政策効果などについて検証を進めてまいります。
次に、対象年齢の引き上げでございます。一昨年十月の制度改正におきましては、県全体の医療費助成の底上げを図るため、対象年齢を就学前から小学校六年生まで引き上げるとともに、将来にわたって持続可能な制度といたすために、自己負担の一部を見直したところであります。この改正に伴う市町村への助成額は、平成二十七年度の約三十九億円から、昨年度は五十二億円と大幅に増加したところであります。仮に、小学生と同様の自己負担で、対象年齢を中学三年生まで引き上げた場合、県におきましては約七億円の追加財政負担が必要となり、市町村におきましても、小学六年生までを対象としている団体につきましては、新たな財源の確保というのが必要になります。また、他県における対象年齢を比較してみますと、本県の水準に達していない県が、入院については二十二の団体が、通院については三十二の団体が、私どもの水準に達していないということになってございます。こうしたことから、対象年齢の見直しにつきましては、財源確保の見通し、県内市町村のそれぞれの財政状況、他県の実施状況等も踏まえながら、慎重に検討していかなければならないと考えております。
次に、子供医療費支給制度に対する国の考え方でございます。国は、子供医療費の助成により、窓口負担が軽減されることで、医療機関での受診回数がふえ、医療費の増大につながるとして、窓口負担を軽減をしております市町村に対しては、国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置というものを講じてきておりました。こうした中、県では、市町村による独自の少子化対策の取り組みを支援する観点から、全国知事会等を通じまして、この減額調整措置を廃止するよう、国へ要望を続けてまいりました。その結果、今年度から未就学児への減額調整措置が廃止をされたところであります。子供医療費支給制度につきましては、社会全体で子育てを支援するという理念のもと、住んでいる自治体によって受けられるサービスに違いがないようにしなきゃいかんと思います。本来、国の責任において、全国一律に実施されることが望ましいことであると思います。したがいまして、国による、この制度の創設というものを引き続き働きかけをしてまいります。
次に、フッ化物洗口モデル事業についてお尋ねがございました。県におきましては、学校現場でのフッ化物製剤の調製方法や管理方法等に対する不安を払拭をし、安全性を示すため、実際にフッ化物洗口を行うモデル事業を昨年度から実施をしております。モデル校六校におきましては、学校ごとに設置した検討会におきまして、学校職員のほか保護者代表、市町村教育委員会、学校歯科医等によりまして、洗口液作成や実施の手順について協議を行ってまいりました。その上で、保護者説明会を開催し、同意を得られた児童九三%に対し、週一回の洗口を実施しております。このモデル事業の検証会議におきまして、保護者からは、安全性に対する不安や抵抗感はないとの意見が出され、また地域の歯科医師会、薬剤師会がフッ化物製剤の調製や管理を行うことで、学校側の不安も解消されております。さらに、モデル校におきましては、フッ化物洗口を継続したいと、そういう御意向もございまして、事業は円滑に実施できていると評価をいたしております。
これから先でございますけれども、県教育委員会と連携をしながら、小学校、市町村教育委員会を対象に、この報告会を開催をいたしまして、モデル事業での薬剤の調製方法や管理方法等を紹介をすることによりまして、フッ化物洗口を多くの学校で導入をしていただくよう促してまいります。