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議会報告

議会質問

【2018年2月定例会】 2018年3月8日

本県の無電柱化の推進に対する取り組みについての質問

質問無電柱化の推進に向けた取り組みについて

答弁(知事) 無電柱化については、災害時の電力・通信等のライフラインの確保、電柱の倒壊による道路の寸断の防止、安全で快適な歩行空間の確保、景観の向上面から、非常に有効であると認識している。一方で、コストが高いといった課題がある。  今後、県では、現在、国で策定が進められている「無電柱化推進計画」に則り、県内道路と対象とした「福岡県無電柱化推進計画」を策定していく。  その策定にあたっては、コスト削減について、電力事業者や通信事業者と十分な調整を図りながら、実行性のある計画となるよう努める。

会議録全文

大田満 大田 満

本県の無電柱化の推進に対する取り組みについて質問いたします。
全国には、道路上に林立する電柱が約三千五百万本、削減に取り組んでいるにもかかわらず毎年七万本のペースでふえ続けていると言われています。電柱が道路空間に乱立し、電線の束が道路上空を覆っている状況は、電線による病、文字どおり電線病に冒されているという表現がぴったりで、そんな日本の空を取り戻そうと、昭和六十年代の初頭から本格的に電線類の地中化、無電柱化が進められてきました。しかし、その水準はロンドン、パリなどのヨーロッパの主要都市のみならず、香港、シンガポール、台北といったアジア各国の都市と比べても大きくおくれをとっています。近年、災害の激甚化、頻発化、高齢者、障がい者の増加に加え、インバウンド観光需要の増加により、道路から電柱、電線をなくすべきという要請がより一層高まってきまして、国では平成二十八年十二月施行の無電柱化の推進に関する法律に基づき、無電柱化推進のあり方検討委員会を設置、幅広く検討が進められた中で、このほど無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進を図るため、無電柱化推進計画案が作成されました。
この推進計画案では、無電柱化の進め方について、やみくもに実施するのではなく、必要性の高い区域を重点的に進めるとし、その対象道路は防災また安全で円滑な交通の確保、景観の形成、観光振興の観点から、まずは緊急輸送道路や避難所に通じる道路、次に生活道路や商店街、通学路で高齢者や障がい者が電柱を避ける際に車道にはみ出す道路、続いて世界、日本遺産など歴史的な趣きのある観光地、そのほかにも、これはオリンピック・パラリンピック関連で本県では該当しないものでありますが、首都高速中央環状線の内側のセンター・コア・エリア、以上が対象になっています。また、計画の実施期間は二〇一八年から二〇二〇年までの三年間、この間に一千四百キロメートルを無電柱化するとの目標が掲げられておりまして、これを率換算で見れば、都市部、いわゆるDID地区における第一次緊急輸送道路の無電柱化率を三四%から四二%へ、バリアフリー化の必要な特定道路では一五%から五一%へ、世界文化遺産周辺の地区を代表する道路では三七%から七九%へと無電柱化率を引き上げることになります。また、この推進計画案に関しては、現在パブリックコメントが実施されておりまして、今年度内に正式決定する見通しであります。
無電柱化の推進については、これまで我が会派の井上順吾議員、中牟田伸二議員から繰り返し質問をしてきたところでございます。あいにく私は無電柱化の第一人者ではございません。しかし、今回は改めて無電柱化の整備を加速させたい、そういう思いから質問いたします。
まずは、現在までの本県の実績について、無電柱化の整備延長をお示しください。また、これは全国的に比較するとどのような水準にあるのか、あわせてお尋ねします。
ところで、無電柱化がなかなか進まないのは、さまざまな要因が挙げられまして、まずは何よりもコスト面での障壁が考えられます。これまで我が国の無電柱化の整備手法は、広幅員歩道の地下に電線を収納する電線共同溝方式が主に採用されてきました。しかし、この方式では、幅員が狭い道路では埋設が困難であること、一キロメートル当たりおおむね五億三千万と整備コストが割高であるといったデメリットもあって、電線共同溝方式に偏重した手法は既に限界が来ています。他方、世界の先進都市では、安価で空間上の制約を受けない直接埋設が主流でありまして、今後は従前の基準より浅く埋設する管路の浅層埋設や小型ボックス活用埋設などを含め、低コストの手法を適材適所に導入するとともに、必要な整備や工事などについては従来のやり方を徹底的に見直し、コスト縮減を進めなければなりません。
そこでお尋ねします。本県の無電柱化を進める上で、整備手法やコスト縮減について知事はどのような見解をお持ちなのかお聞かせください。
続いて、無電柱化を進めるに当たっては、ほかに費用負担の見直しや税制面からの誘導方策についての検討も必要でありますし、とりわけ地域レベルで合意形成を図ることは非常に重要であります。また、その体制の構築や充実に対しては、県が担う役割が大きくなっていくと思われます。現在、道路管理者、電線管理者、警察などで構成する協議会において、無電柱化の推進のための各調整が行われているようですが、地域の実態やニーズがしっかり反映されるよう体制の強化が必要であります。また、無電柱化の関係者は多岐にわたるため、例えば地元住民からの要請の声を橋渡しするワンストップ窓口の設置も必要かと考えます。ほかにも、効率的な工事の調整や民地への引き込み設備の集約など、課題を解決するためにさまざまな施策を講じなければなりません。
そこでお尋ねします。無電柱化の迅速な促進を図るためには、国、県、市町村、電線管理者の間で適切な役割分担をして、その体制のもとで取り組みを大幅に拡大していく必要があります。無電柱化推進法では、都道府県は無電柱化の推進に関する施策について計画を定めるように努めなければならないとなっており、これについては県での取り組みと県民の理解や協力を促すためにも有効と考えます。無電柱化の必要性について知事はどのようにお考えなのか、あわせて無電柱化推進計画の策定についても同様にお尋ねします。さらに、計画の策定に向けてどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
最後に、どうしてもコスト面がネックであるがゆえに、これまで先送りにされてきた感がある無電柱化、この事業を県の主導のもとでしっかり推進していくとの強い意気込みが感じられる、そのような御答弁をお願いし、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。

答弁者 知事(小川 洋)

本県の無電柱化の状況でございます。県内の道路におきまして、電線類の地中埋設などにより無電柱化を行った延長距離でございますけれども、平成二十八年度末時点で約三百二十キロメートルでございます。道路延長のうち電柱のない延長の割合は、すなわち、いわゆる無電柱化率でございますけれども、これは福岡県は一%でございます。全国平均の一%と同じ水準でございますけれども、東京都の五%などと比較いたしますと、本県は低い水準となってございます。
無電柱化の整備手法やコスト縮減についてお尋ねがありました。これまでの無電柱化というのは、電線類を集約して地中化をいたします電線共同溝方式、これが主流でありました。そのために、コストが高いなどといった課題がございまして、なかなか整備が進まない、進捗が伸び悩んでおったところであります。現在、国の策定中の無電柱化推進計画におきましては、建物の軒を活用して電線類の配線を行う軒下配線、裏通りへ電柱を移設する裏配線方式など地中化以外の整備手法、また地中化による場合でも浅層埋設方式といった低コストの手法などについて、それらを活用することとしております。県といたしましては、他県の先行事例やこれらの技術開発の動向というのも踏まえながら、こうした地中化によらない多様な整備手法、またコスト削減策というものを活用していくことが重要であると、このように考えております。
今後の取り組みでございます。無電柱化につきましては、災害時の電力、通信等のライフラインの確保、電柱の倒壊による道路の寸断の防止、安全で快適な歩行空間の確保、景観の向上、それらの面から非常に有効であると認識をいたしております。しかしながら、一方でコストが高い、大きな課題がございます。今後、県におきましては、現在国で策定が進められております無電柱化推進計画、その内容にのっとりまして、県内道路を対象とした福岡県無電柱化推進計画を策定をしてまいります。その策定に当たりましては、県といたしましては、電力事業者、通信事業者、市町村など関係者の方々と十分調整を図りながら、実効性のある計画となるよう努めてまいります。