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議会報告

議会質問

【2017年2月定例会】 2017年3月8日

学童期むし歯予防対策の充実についての質問

質問フッ化物洗口の効果等について

答弁(知事) 国が定めた「フッ化物洗口ガイドライン」においては、4歳児から14歳までの期間に実施することが、むし歯予防対策として、最も大きな効果をもたらすことと明記されている。  また、他県において、フッ化物洗口の実施後には、学童期のむし歯本数が大幅に減少している実態がある。  しかしながら、フッ化物製剤の管理方法等に対する不安があり、理解が十分に得られていない。  フッ化物洗口に取り組む小学校を増やしていくためには、まずはモデル校において実際にフッ化洗口を行い、安全性を示すことが有効であると考えている。

会議録全文

大田満 大田 満

学童期虫歯予防対策の充実について質問させていただきます。
本県では、平成二十五年三月に福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例が制定され、その条例に定める基本的施策を総合的に、計画的に推進するため、翌年の平成二十六年三月に福岡県歯科口腔保健推進計画が策定されました。現在、その推進計画に基づき歯科口腔保健支援センターが設置され、歯科口腔保健の施策が実施されています。
ところで、昨年三月の予算特別委員会において、我が会派の桐明議員、そして私からも、本県の歯科口腔保健の推進に関して質問いたしました。その際、歯科口腔保健推進の施策が滞っている点に関し、どのように改善を図るのかという私からの問いに対しまして知事は、その時点では検討されるにとどまっておりましたが、実際に今年度から身体全体の健康を保つ上で歯と口の健康を含めた健康づくりを一体的に進めるために、歯科口腔保健支援センターの所管を医療指導課から健康増進課に移し、同時に同センターには、嘱託としてではありますが、安定的に歯科医師が配置されることになりました。このような一新しての取り組みを通し、本県が歯科口腔保健の推進に向けて、効率的、効果的な業務の実施を図って対応されたことは一定の評価をするところであります。しかしながら、既に実施されている歯科保健施策の中には、ライフステージにおいて、例えば乳幼児期から学童期、青年期、成人期、高齢期と区分して、それぞれの時期における口腔やその機能の状態、また歯科疾患の特性に応じた特徴ある施策が次々に展開されているものの、なかなか思惑どおりに事が進まないものがあります。そこで、今回は学童期に的を絞り、虫歯予防対策の充実について質問いたします。
福岡県歯科口腔保健推進計画では、生涯にわたって科学的根拠に基づき行う虫歯予防等を基本的な施策の一つに挙げておりまして、これまでに私は、県歯科医師会や地元の歯科医師の先生方と幾度となく意見交換の場を持ち、その際に、フッ素の特性や科学的根拠、そして先例地での自治体の取り組みなどを御紹介いただき、フッ化物洗口による虫歯予防対策には顕著な効果が見られるとの所見を伺っております。私は、フッ化物洗口が虫歯予防に大きな効果をもたらすものと考えますし、本県においても科学的根拠に基づく虫歯予防と抽象的な表現ではありますが、実質的にはフッ化物洗口の効果を期待する、そのような事業が展開されています。それがすなわち、学童期むし歯予防推進事業であります。この事業は、県内の小学校、その学校関係者や保護者に対し、歯磨き指導とあわせてフッ化物洗口に関する正しい知識を普及し、予防に対する意識を高めることで、児童に対する適切な歯科保健指導を行うことを目的にするもので、具体的には、市町村教育委員会、学校長、養護教諭等の学校関係者を対象としたフッ化物洗口の安全性や有効性についての説明会を、その後に保護者を対象とした説明会を開くものであります。平成二十六年度から二十八年度までの三カ年の事業でありまして、本年度が事業最終年度になるわけですが、学校関係者向けの説明会は対象七百五十校のうち、おおむね六割の実施にとどまり、また保護者向けの説明会に至っては五校と、ほとんど実施されずに、事業の進捗は極めて低調でありました。
そこで知事に質問します。国が定めるガイドラインの中でも、フッ化物洗口を推奨していることもあってか、これまで知事は虫歯予防に対するフッ化物洗口の効果は大きなものと評価されていましたが、現在もその認識に変わりありませんか。また、学童期むし歯予防推進事業は極めて残念な結果であったと思われますが、この事業がうまく進まなかった要因について、どのように分析されますか。
私は、昨年三月の予算特別委員会において、仮に最終年度もこの事業が順調に進まないようであれば、平成二十九年度以降にはモデル校を設定して、小学校で実際にフッ化物洗口を行ってもらうなど事業の最終的な目標に向けて先行的な取り組みを検討してみてはどうかと提案いたしました。
そこで知事に質問します。平成二十九年度の新規事業として、県内幾つかの小学校、このモデル校においてフッ化物洗口を実施するといった事業が盛り込まれているようですが、これまでの三カ年の取り組みが思うような結果に至らなかったことを踏まえ、新たな方策としてモデル校でのフッ化物洗口をどのように進められるのか、知事の考えをお示しいただきたいと思います。
次に、学童期むし歯予防推進事業がうまく進まなかった要因はさまざまに考えられますが、安全性、有効性、そして必要性などの点で否定的な意見もあってか、学校現場における学校長、養護教諭、学校歯科医はもちろんのこと、市町村の教育委員会や保健担当課などの多くの関係者に対し、残念ながら共通理解が生まれずに、そして十分な協力を得られなかったことが挙げられます。フッ化物洗口についての理解度、事業に対する取り組みについて、何となく知事と教育長の間に温度差があると思うのは、私だけでしょうか。再度繰り返しますが、学校関係者向けの説明会は、全体のおおむね六割の実施にとどまり、保護者向けの説明会に至っては五校、実質〇・七%の達成率、ほとんど実施できなかったという極めて低調な結果を見れば、そもそも説明会の開催に当たり、スタート時点から現在まで知事部局と教育委員会との連携、協力体制がうまくとれていなかったことが事業の滞りの一番の要因ではないでしょうか。まさしく縦割り行政の弊害が露呈した典型的なケースではないかと言い放ちたくなります。学童期むし歯予防推進事業の実施主体は知事部局でありますので、当然そこに第一義的に取り組んでもらうわけですが、ただ市町村の教育委員会、小学校、そして学校保健医などの学校関係者が相手でございます。むしろ、教育委員会の取り組みが、主導的な働きが、この事業を左右する、成功の鍵は教育委員会が握っていると言ってもいいくらいです。
そこで教育長に質問します。知事にも同様の質問をいたしましたが、フッ化物洗口について教育長はどのような認識をお持ちなのか。あわせて学童期むし歯予防推進事業におけるフッ化物洗口の普及啓発がうまく進まなかった要因をどのように捉えているのかお伺いします。
また、学校関係者向けの説明会の実施状況を見れば、福岡市、北九州市の両政令都市では説明会の実施率がおおむね四割と極端に低い。私自身、福岡市内の幾つかの学校現場から生の声を拝聴したのですが、学童期むし歯予防推進事業に対する認識さえないものがありました。それゆえに、地域ごとでフッ化物洗口に対する理解度に大きな開きがあると感じるわけで、新規事業におけるモデル校の選定に当たっては偏りが生じないよう地域の均一性を十分に考慮してもらう、この点にも触れていただき、平成二十九年度からの新規事業にどのように取り組んでいかれるのか、教育長の見解をお聞かせいただきたいと思います。
最後に、本県の歯科口腔保健の推進に向けて、知事部局と教育委員会の双方が連携を深め、必ずや事業を完遂する、そんな気概を持って取り組んでいただきたい、それをお願いして私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。

答弁者 知事(小川 洋)

まず初めに、フッ化物洗口の効果等についてでございます。国が定めましたフッ化物洗口ガイドラインにおきましては、四歳児から十四歳までの期間にこれを実施することが虫歯予防対策として最も大きな効果をもたらすこと、そのように明記をされております。また、他県におきましてフッ化物洗口の実施後に学童期の虫歯本数が大幅に減少している実態もございます。このようなことから、フッ化物洗口は虫歯の予防に大きな効果があると、このように考えております。
次に、これまで事業がなかなか進捗しなかったことについてでございます。県では、小学校の校長、養護教諭の方などを対象にいたしまして、フッ化物洗口の効果、安全性などを説明をしてまいりました。しかしながら、フッ化物製剤を希釈して洗口液をつくる調製の方法、フッ化物製剤の管理の方法などに対する不安がございまして、理解が十分に得られておりません。
それを受けて、今後の進め方でございますけれども、フッ化物洗口に取り組む小学校をふやしていくためには、おっしゃいましたように、まずはモデル校におきまして、実際にフッ化物洗口を行って、その安全性を示していくことが有効であると、このように考えております。モデル校におきましては、関係者の理解を深めるため、学校職員のほか、保護者代表、市町村教育委員会、学校歯科医、保健所、教育事務所等で構成をいたしております検討会というものを学校ごとに設置をいたします。検討会におきましては、モデル校の実情に応じたフッ化物製剤の調製方法、実施手順等を協議をいたしまして、保護者や学校側の不安というものを払拭してまいりたいと思います。その上で、保護者の方々の理解を得るための説明会を開催をし、同意を得た児童に対しまして週一回のフッ化物洗口を実施をいたします。県におきましては、モデル校での取り組みを報告書としてまとめまして、その中で学校現場のそれぞれの実情に応じたフッ化物洗口の有効な取り組み方法というものを紹介してまいります。その報告書をもとに、県教育委員会と連携をしながら、教育事務所ごとの報告会を開催をすることなどによりまして、フッ化物洗口に取り組んでいく小学校の数をふやしていきたいと、このように考えております。