福岡県議会議員おおた満ホームページ
議会報告

議会質問

【2018年9月定例会】 2018年9月20日

地域の再生・活性化に向けた方策についての質問

質問地域コミュニティ活性化の取組みについて

答弁(知事) 少子高齢化、人口減少が進む中、活力ある地域をつくっていくため、県では、平成6年度に、自主的な地域づくり活動を行っている団体の育成と、その相互交流を行う「地域づくりネットワーク福岡県協議会」を設置し、県内5地域での研修会、全体交流会、優良団体表彰などを行ってきた。  こうした取組みにより現在、県内340の団体が協議会に登録し、様々な分野で地域づくり活動を行っている。  このほか、コミュニティ情報誌「きずな」や、県のホームページにおいて、コミュニティ活性化に効果的な県内外の先進事例を、広く紹介している。

会議録全文

大田満 大田 満

地域の再生、活性化に向けた方策について、地域文化を活用することを切り口に質問してまいります。
平成にかわる時代の幕あけが、来年四月三十日に天皇陛下が退位され、翌五月一日には皇太子殿下が即位されます。新たに天皇が即位される際、即位の礼の後にとり行われる大嘗祭、そこで献納される新米を耕作する水田、いわゆる斎田は、御所がある京都を中心に東と西に分けて、それぞれ一カ所が選ばれます。東の斎田を悠紀斎田、西の斎田を主基斎田と呼びます。
昭和三年、昭和天皇の御即位、大嘗祭の際には、福岡県早良郡脇山村、現在の福岡市早良区脇山が主基斎田に選ばれました。当時、脇山の地は斎田決定の伝達から京都への輸送に至るまでの約七カ月、県を挙げての一大事業の舞台となりました。ちなみに、東の悠紀斎田には現在の滋賀県野洲市三上の地が選ばれました。
ところで、ことしはそれから九十年という節目の年に当たります。六月には、脇山地区の方々を中心に周年行事が開催されました。当日は、会場である脇山小学校の体育館に展示された数々の資料から、脇山の主基斎田について詳しく知ることができました。当初、県内九十四カ所もの候補地の中から、最終候補地として早良郡脇山村のほかに糸島郡長糸村(現糸島市)、筑紫郡山口村(現筑紫野市)の三カ所に絞り込まれ、その後、国の実地調査で決定されたという九十年前の斎田選定の経緯。交通機関が十分に発達していなかった当時に、三日間で何と十五万人もの拝観者が訪れたというお田植えの模様。また、気象観測、田んぼや水の衛生、害虫駆除など、献納する米には細心の心配りが求められ、刈り取り後には胴割れした米や砕けた米を取り除き、一粒一粒きれいな米を延べ二千人の手で選別、さらにはその献納米を運ぶ青年団の行列、熱狂する見物人など、当時の盛り上がりの様子が存分に伝わってまいりました。脇山校区自治協議会会長で記念事業の実行委員長をお務めになった重松重興さんからは、地域の伝統文化や歴史、美しい自然を後世へ継承したいという思いに加え、十年後の百周年に向けて地域が一致団結し、機運の醸成と地域文化の継承を目指すという力強い決意が述べられました。
この日一番の盛り上がりは、地元の小学生と婦人会が披露するお田植え舞でした。「早苗とるしづが菅笠いにしへの手ぶりおぼえてなつかしきかな」、明治天皇にまつわるこの和歌に合わせて、矢部村の茶山唄、星野村の反耶舞、城島の酒造唄の節をもとに、振りつけは宇島、大里、一貴山の盆踊りなどを取り入れ、九十年前のお田植え祭でも踊られたこの舞は、戦争によって一時途絶えていましたが、昭和四十年代に地元有志の尽力によって復活、その後は婦人会、自治協議会、小学校の人々の熱意と努力によって、校区や学校での行事、またオイスカ西日本研修センターとで共催されるフェスティバルで披露されるなど、郷土の地が主基斎田に選ばれたことを誇りに、現在まで脈々と引き継がれております。この日も記念式典の会場で、小学校に隣接する水田で繰り返し披露されていましたが、このように地域の文化を生かして、地域の全体が盛り上がる様子を目の当たりにして、深い感動を覚えたところです。
ところで、大正の悠紀斎田の地である愛知県岡崎市、主基斎田の香川県綾川町では、三年前の平成二十七年に百周年を迎えられ、ともに秋篠宮、同妃両殿下の御臨席の中で記念行事が挙行されました。記念式典やお田植え祭りなど、百周年記念行事は大変な盛り上がりを見せたそうです。関係自治体はもとより、地元の方々に至っては、記念事業の準備、運営に当たり言い知れぬ努力と苦労があったのではないかと拝察いたします。脇山地区の方々は、今回の九十周年記念行事を契機に地域の機運を醸成し、百周年に向けた新たな展開を目指しております。その実現のためには、地域の方々の熱意はもちろんのこと、あわせて県の力強い支援が必要でありまして、まだまだ十年先のことではありますが、県の積極的な関与に大きな期待を寄せるものであります。
さて、脇山における取り組みのように、地域の人々が協力し合って主体的に進める取り組みや文化の魅力を発信する活動は、地域の人々を元気にするとともに地域を訪れる客足を伸ばすなど、観光や農産物などの販売の促進といった地域産業の活性化につながる可能性を秘めております。また、県内各地には歴史的資源、伝統芸能を初め、音楽、美術、舞台といった地道に続けられている芸術活動、漫画やアニメ、食、お祭りなど、多種多様な文化が存在します。私は、これらを創造的なアイデアや手段で魅力的に発信することにより、地域を元気にする、このような活動を広げることが地方創生にもつながると考えます。
一方で、人口の減少や高齢化が際立って進む地域においては、活動を支える人材の不足、ノウハウの継承が危ぶまれる心配があります。大部分が中山間地域を占める脇山校区においても、十年後はどうなるだろうかと不安の声を多く耳にしますし、県内各地には同様の課題を抱える地域が少なくないと考えます。
そこでお尋ねします。まず知事は、地域の文化を生かして地域活性化を進めることに対し、どのような認識を持っておられるのか。あわせて、人材不足などの懸念も踏まえた今後の県の取り組みについてお尋ねします。
次に、県では、地域課題の解決を図るために、地域が自立的に持続的に活動できるよう地域コミュニティーの活性化に取り組んでいますが、これまでに、どのような取り組みを行ってこられたのか、お答えください。
また、活力ある地域社会を再生する上で、地域の担い手となる人材をいかに確保していくかということも重要な課題になります。県は、地域の担い手確保について、どのように取り組みを進めていくのか、お尋ねします。
以上、知事には、地域社会を取り巻くさまざまな課題、その一つ一つを着実に克服していくという強い姿勢をお示しいただく、そのような御答弁をお願いして、私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。

答弁者 知事(小川 洋)

まず初めに、文化を生かした地域の活性化と今後の取り組みでございます。県内各地におきましては、住民の皆様によって保存、継承されているものを初めといたしまして、特色のある文化資源が幅広く存在をしております。地域の文化資源を生かした活動は、それに参加し、これを行う方々の地域への愛着を深めるとともに、地域外の人々の交流拡大へとつながるなど、地域の活性化を図っていく上で重要なことであると思っております。御指摘のとおり、今後、人口減少、少子、高齢化の進展に伴いまして、こうした活動の担い手の減少というものが懸念されます。そのことから、まずは多くの県民の皆様に地域の文化活動についての情報を伝え、それに関心を持っていただき、応援をしていただく人々をふやしていく必要があると、このように考えます。このため、地域の文化情報の収集に努め、さまざまな情報媒体を活用して、これを発信してまいります。
さらに、地域のお祭りの運営を支援するボランティアを確保する取り組みや芸術家、芸術分野のノウハウを持っておられる団体、そして住民の皆さんとが連携して取り組んでいく特色ある文化支援を生かした活動、これを推進することによりまして、地域の活性化につなげていきたいと考えております。
次に、地域コミュニティー活性化の取り組みでございます。少子、高齢化、人口減少が進んでいく中で活力ある地域をつくっていくため、県におきましては、平成六年度に自主的な地域づくり活動を行っております団体の育成、そしてその相互交流を行う地域づくりネットワーク福岡県協議会を設置をいたしまして、県内五地域での研修会、全体交流会、優良団体表彰などを行ってきたところであります。こうした取り組みによりまして、現在県内三百四十の団体がこの協議会に登録をし、さまざまな分野で地域づくりの活動を行っておられます。このほか、各地域のコミュニティーの活性化の参考にしていただくため、県が発行しておりますコミュニティー情報誌であります「きずな」、これや県のホームページにおきまして子供と地区の住民の皆さんが一体となって実施をされます防災避難訓練、また住民が主体となって策定した校区ごとの地域振興計画などコミュニティーの活性化に効果的な県内外の先進的な事例というものも広く御紹介をしているところであります。
次に、地域の担い手確保の取り組みでございます。県におきましては、自治会役員や市町村職員を対象にいたしまして自主防災、地域包括ケア、地域おこし活動など、地域コミュニティーにかかわる諸課題について、有識者の講演、参加者による事例発表、また、それらを題材にしたワークショップなどを行います研修会を、平成二十一年度から実施をしておりまして、地域コミュニティー活動の担い手の育成に取り組んできているところであります。また、地域おこし協力隊につきまして、その募集から任期中の活動、任期満了後の起業、就業に至るまで切れ目のない支援に努めてきているところでございまして、平成二十九年度は、三十一市町村において百三十二名の地域おこし協力隊の隊員が、観光振興、移住、定住の促進、六次化商品の開発など地域の活動に従事をしていただいております。また、任期満了を迎えた隊員に引き続き地域の担い手として活動してもらうための定住の促進にも取り組んできておりまして、これまで十五名の方が県内に定住をされているところであります。県といたしましては、これらの取り組みをさらに拡充させ、市町村と連携をいたしまして地域の担い手の確保に取り組んでまいります。